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シンプルで合理的な生活

逼迫する電波需要と寡占化から逃れられない日本の携帯事業者事情

昨年からauやソフトバンクのサブブランド戦略に、MVNO各社から不満の声があがっている。
Y! MobileやUQモバイルといったサブブランドを優遇し、他社つぶしを行っているという内容である。

日本ではしばらく3者による寡占が続いており、総務省や公正取引委員会から頻繁に警告やレポートが出されている。 

jp.reuters.com

これに対して、キャリアの代弁者としてモバイル業界のライターの何人かが、
キャリアは施設の費用を負担してきたのだ(つまり、嫌なら自前で設備を用意しろ)
と論陣を張っている。


だが、電波資源の視点から見ると新規参入をそう簡単にさせらないことは、おそらく各ライターもわかって書いているのだろう。

反面、一度、参入してしまえば旨味のある携帯事業はすでに先行者により著しく不公平な市場と化しており、だからこそ総務省もMVNOを推進している。

希少で有限な電波資源

新規参入については、設備投資の資金と電波資源の逼迫が壁となり新規参入を防いでいる。

このうち資金面についてはクリアできる可能性は高い。
仮に自社のみでは苦しくても複数の企業が出資して行うことも可能だ。
(auも元々は数社の出資により誕生した企業である)

 

iPhone 5S

 

やはりネックとなるのは電波の方になる。

日本に限ったことではないが、増え続ける需要に電波は何年も不足している状態が続いており、これが非常に大きな問題となる。

電波の利用は世界中の先進国で、基本的に政府の強い管理下におかれており、当然、勝手に基地局を建てて運用を始めるなどは許されない。

電波は周波数帯ごとに用途が定められている。

http://www.tele.soumu.go.jp/resource/search/myuse/usecondition/wagakuni.pdf

この携帯電話に割当てられた周波数帯から、さらに各キャリアに割り当てられる。
2GHz帯のバント1にしても、上りと下りを20MHzずつ3社で分け合っている。
そのため、現在の3大キャリアですら、電波の割当をめぐって争奪戦が行われている状態だ。

数年前にも、すでに800MHz前後の、いわゆるプラチナエリアの割当をめぐってキャリア間の攻防が繰り広げられたこともある。

キャリアが増えれば増えるほど1社に対する割当は減ってしまう。
20世紀から21世紀にかけて国内にいくつもの事業者が存在した頃のようにローミングサービスの利用が一般的な時代に戻ってしまうだろう。

すでに利用されなくなった別の周波数帯をあてがうことも行われているが、キャリアアグリケーションのように複数の周波数帯を束ねるような通信方法が一般的になってきたこともあるし、なによりユーザーの利便性が損なわれてしまう。

基地局用地の争奪

基地局を建てる場所の問題もある
基地局はどこにでも建てられるというものではない。
特に都市部の駅前などは利用者が多い反面、マンションやビルの屋上のように、設置場所は限られてしまう。
さらにこうした場所の所有者から許可が得られるとは限らない。
現状でも取り合いとなっており、キャリアの数が増えれば基地局が希薄化してしまう。

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結局のところ、技術と資金があるからといって参入が増えてしまうと、モバイル環境が著しく利用しづらいものになる。
参入を表明した楽天に否定的な声が多いのは、資金的なものもあるが、電波資源の確保からの視点も少なくない。

特定資本関係のある企業の制限

電波資源を限られた企業が独占してしまうことは好ましいことではないが、既存のキャリアの利用者を考えれば、新規参入のために外すことも事実上不可能である。

しかしキャリアがサブブランドを立ち上げてたり、あるいは既存のMVNOを傘下に収め、そのサブブランドを優遇することで、もはや主旨とはずれてしまっている。
今後もこの問題は続くだろうが、小手先の対策では、SIMロックと同じくなんらかの抜け穴を利用するだけで、根本的な解決にはならないだろう。

やはり特定資本関係のある事業者をサブブランドとすることを禁じるべきだろう。
またSIMロックの問題でも声が上がっているように、キャリアの土管化をはからなければ、最終的には解決しないのではないだろうか。