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シンプルで合理的な生活

Googleにとって日本の優先度は低いが無視しているわけでもない

Google の Pixel 2 が現時点で日本で発売されないことは、思った以上に話題になっている。
初代Pixelが発売されなかったときは、AIの日本語化待ちという説もあり、Google純正のハイスペック端末を求める層には今度こそという思いがあったのも影響しているだろう。

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そしてAndroid環境の開発で最新バージョンの実機テストのリファレンスとして使用できないことで、開発に支障が出るという問題は少なからぬ議論を巻き起こしていた。

Pixelの発売国から漏れた理由としては、日本の技適制度の問題や、なかにはiPhone天国な上に国力の落ちた日本をGoogleは無視していると指摘する声も少なくない。

だが、Googleが日本をまったく無視しているか、というとそんなことはないだろう。
もちろん上記の事情がないといえば、おそらくあるだろうし、その他にも日本語という市場の狭さゆえに優先順位が下がっている可能性も高いはずだ。
だが今年もまたPixelが発売されなかったのも、先日書いたように、Googleのスマートフォンの生産能力が不足していることが最大の原因だろう。
逆に今後生産能力があがれば、日本でも発売される可能性はあると考えている。 

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遅れているとはいえ、Googleは、Google Home などの製品は発売されており、AI製品も日本語に対応させている。
本当に無視していたら、これらの他の製品すら販売されないだろうし、日本語対応もないだろう。

そもそも発売国自体が非常に少なく、日本以外にも中国、韓国、フランス、ロシア、中東諸国でも今のところ発売の予定はない。

周波数はあまりアテにならない

LTEバンドが日本の周波数帯に未対応のため、はじめから眼中にないという指摘もある。

とはいえそれはドコモ系のバンドであり、ソフトバンク系のプラチナバンドであるバンド8には対応している。
旧来のNexusシリーズはソフトバンク、Y! mobile グループから発売されている機種が多いことを考えれば、むしろ親和性が高いとも言える。

スマートフォンでは、販売地域によって対応する周波数帯を変えているモデルがほとんどだ。
ソフトウェアレベルで変更が可能のため、Nexusシリーズにしても、北米版とグローバル版では対応バンドが異なっている。
日本のドコモが使用している、LTEのバンド19や、FOMAプラスエリアの3Gのバンド6は、日本以外に使用しているところが現在なく、日本で展開しないモデルならわざわざ対応させることはあまりない。
もちろん商品として販売する以上、ガジェット好きがするようにただバンドを書き換えて終わりという訳にはいかないだろうが、ハードウェアレベルで手を入れるよりも楽だろう。

反対に初代のPixel自体がそうであるように、対応しているからといって日本で販売されるわけではない。
Huaweiをはじめ、いくつかの中国メーカーでは日本には発売しないモデルでも、ドコモのLTEバンド19に対応している端末がある。
ビジネスや観光で日本を訪れるユーザーが、訪日外国人向けのSIMを利用しやすいようにという配慮だろう。

Pixelはリファレンス機としてふさわしいか

Googleはリファレンス機としてPixelを考えているのだろうか。
たしかにNexus はリファレンス機の意向が強く、奇をてらわないオーソドックスな端末として製作されていた。

しかしPixelはトレンドを強く意識した端末となっている。
ダブルカメラやAIへの対応、HTC由来と思われるActiveEdgeなど、ハイスペック端末での最新の流行や固有の機能を盛り込んでおり、最先端のAndroid端末をアピールするマーケティングの要素の強いスマートフォンである。

おそらくGoogleは開発者にPixelシリーズをリファレンス機を提供しようとは考えていないのではないか。
皮肉なことだが、本来は製造メーカーの意向が強いNexusの方が素直なAndroidスマホとなっている。
それにそこまでのレベルの開発なら、実機のテスティングサービスのアウトソーシングした方がいいのだろう。

それ以前に指摘自体に腑に落ちないところが多い。
たしかに最新のAndroidがOTAで降ってくるのは重要だが、今はまだ Nexus 5X と Nexus 6P は1年の猶予がある。
煽りであったり、炎上系サイトの話題作りといった、なにか別の目的もあるのではないだろうか。

Google

Googleはまだハードメーカーとして未熟

Pixelの供給が増えれば日本での発売もあるとは書いたのだが、実際には、Pixel 2 での実現はかなり難しいのではないか。

Googleが自前でハードを用意するようになってまだ日が浅い。
NexusシリーズはGoogleの名を冠していても、実態はODM生産であり、各メーカーの裁量が大きなハードである。
PixelになりようやくGoogle自身が設計するようになったくらいだ。

たとえばAppleならば、製造自体は外部に委託しているとはいえ、ジョブズとウォズがガレージではじめて以来、40年という月日が流れており、ハードウェアメーカーとして様々なノウハウの蓄積は比べ物にならない。
いくらGoogleとはいえ、スマートフォンの自社設計に乗り出してまだ日が浅く、HTCの一部を買収したとしても、彼らとの差はそう簡単に埋められる差ではないはずだ。

現在のモバイル端末の部品製造をめぐる状況が劇的に改善されない限り、Pixelの安定供給は難しいのではないか。
だがメモリを始めとするハイエンドのパーツは需要が供給を上回っている状況は、予想を超え1年以上も続いたままで改善の兆しが見えない状態だ。
おそらく回復よりも、来年の Pixel 3 の登場のほうが先かもしれない。
また Pixel 3 にしても担当メーカーによっては、やはりなお厳しい可能性はありそうだ。

もしPixelの製造が別のメーカーだったら

初代のPixelはHuaweiが担当する可能性があったことは、関係者の話として流れていた。
この案件は、Pixelにメーカーのイメージを付けたくないGoogleと、北米でのブランド向上をはかりたいHuaweiとの両者の思惑の違いで流れてしまったという。
またHuawei側には Nexus 6P の発売時にGoogleが販促活動をほとんどしなかったことで売上が振るわず、自社のサイトでも販売することで妥協したという経緯があり、Googleに対する不審もあったと言われている。
Huaweiにとっても、2度続けての失敗は避けたいところで、妥協点が見いだせなかったのだろう。

仮に製造が躍進を続けているHuaweiが担当していたら、もう少し結果は違っていたのではないだろうか。


本来は技適の話を書く予定だったのだが、あまりに長くなってしまったので、そちらは改めて別の機会に。