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シンプルで合理的な生活

電子書籍リーダーが乗り越えるべき課題

電子書籍をめぐる議論にはどうもとり散らかっているというか、まとまりがない。
近頃は電子書籍そのものについての話題よりも、権利、収益、ついには日本の出版業界の構造まで、おおよそ本筋とは関係のない話までがかかわっており、そちらの方が活発に議論されているように感じている。
 
ここ最近だと、 
読者「電子書籍なのになんで安くないんだ!」→出版社「いや電子の方が原価が高いし……」 - コツログ

記事中のコストの計算方法もフェアではないのだが、価格云々以前に、赤字が出ることを承知で大量に出版する現行のモデル自体から改善するべきではないのだろうか。

2017/07/07 08:21

というような、価格についての話題も盛り上がっていた。

 
別の見方をすれば、電子書籍というフォーマットそのものは受け入れられてきていることではないか。
問題点はその在り方へと変化しているのだろう。
 

電子書籍リーダーに課題あり

ただ、個人的には、紙の本と比較すると、まだまだ改善されねばならない点があると考えている。
現在の電子書籍において、もっとも問題なのはそのデバイス(電子書籍リーダー)にあるのではないか。
そして現代の技術では簡単に解決できない問題でもある。 
 

モバイル端末が紙の本より優れる点

電子書籍リーダーとして利用されている端末のうち、PCはノートも含めてスタイルが限定されすぎるため除外するとして、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末を中心だ。
 
メリットに関しては今更ではあるが、これらのデバイスが紙の本より優れる点として、圧倒的なメリットとしては保管スペースと持ち運び可能な量だろう。
この2点は圧倒的に電子書籍が有利だ。
本の好きな人間には蔵書の収納や、旅行や出張である程度の冊数を持っていきたいときなど、紙の本ではどうあがいても及ばない。
 
またバックライトがあるディスプレイならば、暗いところでも読むことができる。
 
だが、単純に1冊分の本として考えた場合、まだデバイス側には紙の本に劣る部分がある。
 

画面サイズに比例して増える重量

やはり最大の問題点は画面サイズと重量比にある。
6から7インチ程度の端末が一般的だが、小説や実用書にはよいが、雑誌は厳しい。
コミックも作品によるが読みやすいとはいえない。
特に描き込みが繊細だったり、見開きを多用する作品は読みづらい。
 
しかし8インチを超えると重量が厳しくなる。
 
6インチ程度なら、200g前後の選択肢もあるが、8インチタブレットでは300gを超えるものがほとんどだ。
 
もちろん紙の本でもハードカバーの一般書ならば400g前後はあるので、それと比較すれば軽いかもしれないが、文庫や新書と比べると劣っている。
机の上での読書ならばいいが、ごろ寝や移動中の読書には厳しいだろう。
 
画面サイズが大型になれば消費電力が増えてしまう。
だからといってバッテリーの容量を増やせば重量は増す
もちろん筐体の重さも増えるから、より重量が増えてしまう。
 
紙の本のように、1冊が重くなったから分冊してページ数を減らせばいいというわけにはいかないので、そこが難点になる。
 
とはいえ、現状ではよほど革新的な技術的進化がなければ解決できない問題で、一朝一夕ではどうにもならないものだろう。
 

目への負担 

ディスプレイ自体にも問題がある。
紙と比較して目への疲労度は高い。
 
解決のひとつは軽量で電子ペーパーの採用だ。
アマゾンのKindleや楽天のKoboといった端末には電子ペーパーを採用した端末がいくつも用意されている。
 
だが、それ以外に電子書籍リーダーとして活用できるモバイル端末は選択肢がほぼないといってもいい。
日本で一般的に手に入れられるものでは、大型の電子ペーパーはビジネス用途が多く、価格も高くなる。
 
たとえばソニーのDPT-RP1という13インチ以上の大型の電子ペーパーを採用した端末があるが、基本としてビジネス用として使用されるものだ。
電子書籍のサービスに対応していないため、自炊本が前提となる。
さらにカラー電子ペーパーは未だに普及段階にすらない
この分野はデジタルサイネージ方面を向いているため、コンシューマーのモバイル端末に降りてくる可能性も当分の間は期待できないだろう。
現在のディスプレイ産業を考えると、その可能性すらないかもしれない。
 

デバイスの進化か、フォーマットの変化か

電子書籍をメインにするようになり5年近くとなる。
便利になった半面、端末の現状については、まだまだ未成熟という感じだ。
 
この問題は今日明日には解決される問題ではなく、しばらくは1冊あたりの書籍としては、当面は紙の本にかなわないだろう。
 
とはいえ、現在の出版業界が、紙の本を基準に考えられているからこそ起こる問題もある。
すでにスマホ向けのコミックサービスが何社も出てきているように、端末の進化よりも先に、ディスプレイで読まれることを前提にした段組みやコマ割りといった、電子書籍ファーストなパブリッシングが主流になることもじゅうぶんに考えられそうだ。