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シンプルで合理的な生活

閲覧者のブラウザでの仮想通貨のマイニング問題とモナコインの投げ銭文化

先月、有名ブロガーをはじめとする幾つかのサイトが、自身のブログに閲覧者のPCに仮想通貨のマイニングを行わせていたことが批判された。
閲覧者に無許可で、あるいは拒否したものの実際にはPCを利用されてマイニングされていたことに加え、彼らがあまり評判の良くない人物だったことも批判に拍車をかけたようだ。

こうしたサービスが世界的に話題になったのは、Coinhiveというサービスだきっかけだ。
まだ9月頃に始まったサービスであるが、The Pirate BayというトレントサイトでJavaScriptを埋め込み、閲覧者のCPUを利用して仮想通貨のMoneroをマイニングしていたことが発覚した。
当然のことながら批判が殺到し、すでに一部のアンチウィルスソフトではマイニングに対しブロックが行われている始末である。

JavaScriptによるブラウザマイニングの仕組み自体はなかなかおもしろく、誰もがマイニングを簡単に試してみることができる可能性がある。
慣れてしまえばかんたんとはいえ、やはりマイニング自体にはPCの知識があまりない人には敷居が高い。
特に新しいアルトコインは、誕生した当初は情報が少ないため、なかなか参加する人も少ないが、こうした仕組みがあれば周知に役立てられるかもしれない。

とはいえ、閲覧者へのブラウザマイニングがマネタイズの代わりになるかといえば、かなり難しいのではないか。
大量の広告を見せられるよりはいい、許可制ならばよい、CPUへの不可が少なければ良い、という意見もあるが、個人的には否定的である。

Raspberry Pi Bitcoin Mining

広告の代用としての欠点

閲覧者のブラウザでのマイニングが広告の代わりになるほど収益を生み出すかどうかはかなり疑問がある。

現在、ビットコインを始めとする多くの仮想通貨では、人気のあるコインほど、大勢のマイナーが押しかけてしまう。
代表的な仮想通貨であるビットコインは、当初は個人のPCでの採掘も可能だったが、今では事業として電気代の安い国や地域で専用のハードを大量に投入して行うレベルでないととても採算が取れないレベルだ。

他の代表的な仮想通貨も電気代をペイできるかどうかというところで、個人レベルではとても太刀打ちできない。

基本、価格が高いコインほどマイニングが難しくなる上に、閲覧者のPCに影響が出にくいようにCPUの利用率を低くすれば、当然のように採掘量も減ってしまう。

さらにこれらのマイニングを行うPCでは高性能のビデオカードを搭載しているとは限らない(むしろ少数)ため、基本的にCPUでのマイニングとなる。そのためMoneroのようにCPUでそれなりにマイニングできるコインが限られる。

それに加え、サービスには高い手数料がかかる。
今後、新興のサービスにより手数料は下がることが予想されるが、それでもただでさえ少ない利益から引かれるのはかなり厳しい。

すでにCoinhiveを導入した人々の感想を信じるなら、ほぼ全員がたいして利益が出ないことを告白している。

収益以外の問題点

許可制ならばいいというのもどうだろうか。
ただでさえ収益が出ない以上、運営側が正直に運用するのだろうか。
まず多くの閲覧者は非許可を選ぶだろうし、そうなれば益々マイニングの収益が上がらないことになる。

事実、とあるブロガーが導入したサービスでは、非許可を選んだのにもかかわらずマイニングされたということで問題となった。
これはサービス側のミスだという話だが、はたして本当にそうなのかは疑問が残る。

利用者がうっとおしく思うほどの広告を貼り付ける運営者が、素直にこの仕組みを運用するとは考えにくい。
利益を目の前に出されると、人のモラルは簡単に崩壊させられてしまうのだ。

他には消費電力の件もある。
仮想通貨は大量の電力を消費するために、環境への負荷が高いことは問題としてあげられている。
こうした電力の消費には、対策を考えるコインも出てきたが、むしろそれに逆行する仕組みではないだろうか。

スマホアプリに組み込むアイディアも聞こえてはいるが、PCより電力消費にシビアなモバイル端末ではそれ自体がトラブルの種になりうるだろう。

(ただモバイル端末環境の変化で、この問題は将来的には解決する可能性はある) 

現状では上記のThe Pirate Bay のような素性の悪いサイトのように、アクセス数は多いが真っ当なスポンサーがつかないサイトくらいしか、なかなかよい使い道がなさそうだ。
通常のサイトならやはり別の方法で収益をはかる方がよいだろうし、うっとおしくないレベルで広告を考えたほうがはるかに良心的だ。

モナコインの投げ銭文化

批判に対し、イノベーションを阻害するものだという反論があるが、これには賛同できない。
仮想通貨はもっぱら投機用途に利用されてしまっているが、やはりもう実際の利用方法を考えるべきで、それこそが今必要なイノベーションではないだろうか。

今、こうした仮想通貨の利用方法で、気になっているのが、国産のモナコイン(モナーコイン)という仮想通貨のコミュニティだ。
元々は2ch現5ch発祥のアルトコインだが、モナコインの特徴として投げ銭文化というのが早くから発達している。
モナゲという言葉まであるくらいだ。

monacoin

たとえば、イラストや音楽を制作して公開していているようなコンテンツの制作者に送るといった利用方法だ。
投げ銭は送付する金額が安いため、一般的な振込やカードでは手数料が高くついてしまう。
それを手数料の安い仮想通貨の特徴を活かして、少額でも送りやすくできる。

モナコインではこの手のサービスが盛んで、ツイッターのアカウントがあれば、モナコインのウォレットを持っていなくても受け取りが可能な方法なども開発されている。

こういった投げ銭のシステムは、他の仮想通貨でも始まっているが、やはりモナコインはその歴史ゆえか一歩先を行っているようだ。
それこそ広告に変わってサイトの運営費を賄うような用途としても期待されている。

私もこれまでも何度か送らせていただいたし、送ってもらったこともある。
最近はほとんど払ってしまったのと、急激なモナコインの高騰で新規に購入するのが躊躇われてしまい、あまりしていないのだが、ウォレットのアドレスをブログやツイッター等にを記載してある人には、見つけたら送らせていただくことがあるかもしれない。