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日本は本当にキャッシュレス決済の後進国なのか

カード対現金払いについて語られる記事は、ネットでもアクセスを集めやすい。
特に現金払いについてのバッシングは強い物言いもあって賛否というか炎上することもしばしばだ。

東洋経済のWebに掲載されたこの記事も、こうしたなかのひとつである。

toyokeizai.net

言い換えれば、クレジットカードや小切手、プリペイドカード、電子マネーといった「キャッシュレス決済」が浸透していないことを意味している。

とある。

この記事はいくつかの資料のうち、日銀の決済機構局がまとめた、

BIS 決済統計からみた日本のリテール・ 大口資金決済システムの特徴

が主要な参考文献のひとつとなっているようだ。
(レポートが作成されたのは昨年2月だがデータは2015年まで)

たしかにこのレポートを読むと、対名目GDP比率に置いて、日本は現金流通残高が高く、反対にカード決済金額は低い。
つまり多額の現金が流通している証拠である。

だからといって日本がキャッシュレス決済の後進国だと断定するのは早計だ。

このレポートからは、キャッシュレス決済でも電子マネーにおける少額決済についてはむしろ平均を大幅に上回り、グローバルでもトップクラスの位置にあることが伺える。

よく現金決済の否定で、レジでの会計で小銭を云々、という話が出てくるが、実際にはこうした小額決済ではキャッシュレス化が進んでおり、電子マネーの普及に伴い、少額貨幣の流通量は減少を続けている。

反面、クレジットカードやデビットカードの決済は低調となっている。

つまり少額決済での利用が多く高額決済が少ないことが、対GDP比率でのカード決済金額の低さにつながっていると考えられ、必ずしも日本がキャッシュレス決済から遅れているというわけではない。

Suica

電子マネーが盛んな理由

推測だが、日本においてキャッシュレス決済がもっとも盛んなのは、スーパーのレジなのではないか。
私の住んでいる地方都市ですら、観察していると提携クレジットカードや電子マネーで支払いをする人がかなり多くなったと感じている。
特にポイントの付与率が増加する日の込具合はそれを表しているだろう。
地方都市ですらこうなのだから東京のような大都市圏ならさらに多いのではないか。

自社発行のクレジットカードだけでなく、プリペイド方式の電子マネーを用意するスーパー系列は多く、加えてSuicaに代表される交通系ICカードの普及も少額決済のキャッシュレス化に大きく影響していると考えられるだろう。

利用者の側にしても、自分で金額をチャージして上限を決めることができる電子マネーは需要に合っているようにおもわれる。

Credit Card

キャッシュレス比率上昇を図るなら

現金の流通高が多いのは、キャッシュレス決済のうち、クレジットカードやデビットカードの利用が少ないのが大きな要因と考えられる。
電子マネーでは基本的に5万円、Suicaのような交通系の2万円というのが多くの電子マネーで最大のチャージ金額であり、これでは家電などの高額商品には利用しづらい。

まずデビットカードについては、利用がほとんどないのだが、所有枚数は少なくない。
これは手持ちの銀行のキャッシュカードがデビットカードとして使用できるためであり、この機能を知らない人は多いという。

クレジットカードについては、本来の主戦場である高額決済に用いられにくいという面は重要だろう。
なかでも現金を優遇する販売店の存在は大きいのではないか。
カード会社はカード払いと現金払いで価格の差をつけることを禁止しているが、販売店はポイント還元などで現金を優遇することが多々ある。
店舗側がカード払いを積極的に進めない理由としてカード会社に支払う手数料が高額というのはよく言われている。

またカード払いより現金が優遇される背景には、日本では6ヶ月に2回の不渡りを出すと銀行との取引停止で事実上の倒産というかなり厳しい状況も影響しているようだ。
現金払いが、即時、売上を回収できるのと比べ、入金までのタイムラグがあるカード払いでは、資金繰りが厳しい企業では忌避する可能性は高い。

現金のメリットデメリットは別にして、キャッシュレス比率の上昇を考えるなら、このあたりの問題が改善されるかどうかは重要ではないだろうか。

余談

上記のレポート以外にも、もう少し新しい統計もいくつか目にするのだが、これらの数字にアマゾンの売上は入っているのだろうか。
日本でのキャッシュレス決済のうち、アマゾンでの割合は非常に多いように感じるのだが、なにしろ日本に計上していないので、統計からは漏れているような気がするがどうだろうか。