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シンプルで合理的な生活

SOHO個人事業主や零細企業のビジネスインクジェット複合機を選ぶ(2017年春版)

独立して事務所を構えたり、少ない社員で回している零細企業にとって、悩ましいことのひとつが印刷環境だ。 今やネット上で多くの物事が完結するとはいえ、やはり仕事をしていく上で未だ印刷は必須である。

しかしスペースは有限であるし、予算もまた限られている。 これまでのように大型の複合機を導入するにはやはり無理がある。

とはいえ今はまだ、プリンター、コピー、FAXが使えなければ仕事にならないことも多い。

[caption id=“attachment_216” align=“alignnone” width=“400”] キヤノンのオフィス向け複合機[/caption]

ビジネスインクジェット複合機の台頭

その昔、こうしたビジネス用途の複合機といえば、大型のレーザー複合機が一般的だった。 だが、小規模事業者をターゲットにした小型のもの増えており、なかでもインクジェット複合機は一定の地位を占めるようになった。

その簡便性を活かして、大きな企業でも採用されているし、なかには業務用のデザインとは異なるものも増えてきている。

年賀状や写真印刷をもっぱらとする家庭向けのプリンタとは異なり、インクジェット複合機は別の点が重視される。

  • FAX、スキャナ
  • 耐久性
  • インクコスト
  • トレイの収容枚数

こうしたポイントに比重が置かれている。

専用紙でなくコストのために普通紙に印刷を前提とするため顔料インクが中心であり、黒だけ顔料という機種もある。

写真の印刷品質が落ちる代わりに、コストやスピードなどの性能を重要視しているのだ。 基本的にカラーレーザー複合機のインクジェット版と考えてもいいだろう。

ビジネスインクジェット複合機のメリット

カラーレーザー複合機との違いは、小型軽量であることがまずあげられる。 A4サイズのインクジェット複合機は大半の重くても10kg前後であり、これならひとりでなんとか持ち運びできるだろう。

そしてメンテナンスが簡便であることも重要だ。 たいていのメンテナンスは自分で行うことが前提である。

メーカーに依頼をしなければならないときは、単純な故障以外では、廃インクタンクが満杯になるか、紙送りのローラーがダメになるかという部分だ。

ウォームアップの消費電力があまりいらないという点もメリットだろう。

逆に気になるのはインクコストだ。 カラーインクジェットの場合、モノクロの印刷でも全色のインクが常に消費されるし、インク詰まりの防止で定期的にクリーニングが行われるため、その消費量が馬鹿にならないというのは、いつまでも解消されない問題がある。

インクジェット複合機ピックアップ

プリンタメーカーは今ではビジネス複合機も製造しており、選択肢はかなり多い。 そのうち、SOHOクラスの個人事業主や、零細企業に適した機種をピックアップしてみた。

キャノンCANON MAXIFY MB5130

Canon Maxify MB5130

MAXIFYシリーズは、エプソンやブラザーと異なり、どれも基本的に同じような外見となっている。 比較的外見もモダンであり、一昔前のオフィス複合機のイメージからは程遠い。

全色顔料であり、印刷スピードも早く、ビジネス文書の印刷にはうってつけだ。

ADFが同時両面読み取りのため、コピーやスキャンの手間が省けるのもよい。

MB5130は、最上位のMB5430と比較して、単純に紙を収納するカセットが1段しかないというだけで、他の機能やコストはかわらない。 A4以外の紙をよく印刷するのでなければ、MB5130で問題ないだろう。

またこれよりも下位のモデルでは、本体価格が数千円の差で印刷コストがあがるため、どうしても今すぐの予算がないという場合以外ではあまりおすすめできない。

他にも10件ではあるが、迷惑FAX対策として拒否登録が可能である。 ビジネス用のFAXにはこの機能がない方が一般的であり、メモリ受信が可能とはいえ、いちいち確認して削除するのも面倒なことを考えると、悪くない機能である。

マイナス面はなんといってもインクの判別がシビアすぎることにつきる。 MAXIFYシリーズは、まだインクの残量があっても、一度外したカートリッジは二度と使用できないという仕組みである。 互換インク潰しとはいえ、ユーザーにここまで不便を強いるのはいかがなものだろうか。

それ以外には特に大きな欠点もなく、機能的にはオールラウンダーであり、スモールオフィスだけでなく、家庭用プリンタとしてもよい選択だろう。

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エプソンEPSON エコタンク搭載モデル EW-M660FT

Epson EW-M660FT

エコタンク搭載モデルは、カラーのインクジェット方式では、群を抜いて印刷コストが低いシリーズだ。 使用頻度が多く印刷コストが気になるのなら、このクラスのプリンタと複合機では、レーザーも含めて現在、右に出るものはないだろう。

ハードの価格こそここであげている他の機種よりも高いものの、印刷量が多いのならすぐに取り戻せるだけの価格差でしかない。 コストだけでなく中にインク交換の手間が省けるのもメリットだ。

反対に印刷品質はあまり期待できない。 また全色顔料ではなく、黒が顔料、カラーが染料なのもビジネス用途としてはやや微妙だ。 あとで取り上げるブラザーにも言えることだが、他の4色でも全色顔料の方が向いている。

写真の品質よりも文字やグラフの印刷を重視するビジネス文書には、果たしてこの選択はよかったのだろうか。 エコタンクモデルにカラーの顔料インクを採用している機種がなく、技術的に難しいのかもしれない。

エプソンのビジネス複合機の特徴であるメンテナンスボックスに対応していないのも残念だ。 最新モデルのEW-M770TはFAX機能がないものの、このメンテナンスボックスに対応しているため、廃インクタンクの交換が自分でできるのだが、このモデルは不可能である。

とはいえ、コストが格段に安いことは言うまでもない。 とにかく印刷コストの削減がもっとも命題となっている事務所には最高の選択だろう。

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エプソンEPSON ビジネスインクジェット複合機 PX-M840F

Epson PX-M840F

エプソンのビジネス用インクジェットの特徴として、メンテナンスボックスという装置がある。

現在のインクジェットプリンタの仕組みでは、稼働時にクリーニング等で廃インクが出ることが避けられなくなっており、ビジネス用途では多量の印刷を行うため、本体の寿命が来る前に、廃インクタンクがいっぱいになってしまう。 そうなると交換のために修理に送らなければならなくなり、手間とともに何日か使えなくなってしまう。

しかしエプソンのメンテナンスボックス対応機種では、この廃インクタンクが自分で交換できるため、金額はかかるが、交換のためにプリンタや複合機が使えないという期間を省くことができる。

背面トレイがA4サイズが入る角型2号封筒に対応しているのもよい。

性能的にはライバルはMB5130だが、スピードではやや劣るものの、上記の2店はビジネスでの使用を考えるには、大きなメリットとなるだろう。

これ以外にも操作がタッチパネルだけでなく、物理キーが多数用意されている点も見逃せない。 最近はタッチパネルが流行りとはいえ、スペース的に小さな画面となることもあり、細かい操作はしづらくなる。 特に数字キーがハード上にあることはかなり楽になる。

そしてエプソンのビジネスプリンタや複合機は目安となる耐久が公開されており、PX-M840FはA4印刷15万ページとなっている。 これは同社のEW-M660FTの3倍である。

エプソンのビジネス複合機も、これよりも下位の機種では印刷のコストがあがるため、やはり予算に問題がなければPX-M840F以上のほうがベストだろう。

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ブラザー PRIVIO MFC-J887N

Brother MFC-J887N

ブラザーのビジネス用複合機はA3サイズが中心で、現在A4サイズのものはこのMFC-J887Nのみである。 A4サイズの複合機はこのMFC-J887Nはビジネス複合機に分類されているが、BASICシリーズに分類されており、家庭用途としての比重が大きくなっている。

その分、コンパクトにまとまっており、ビジネス複合機の中でも、省スペースとなっている。

インクも互換インクを含めて手に入りやすく、万が一、切らしたときでもすぐに買いに行くことができるし、メディアの需要が少なくなったとはいえ、ビジネスプリンタでは少ないレーベル印刷に対応しているのも大きな利点だ。

近年ではデジタルのままデータのやり取りをすることも多く、あまりプリントやコピーをしない最低限の印刷環境さえあればよいというSOHO的な環境にはよい選択になるだろう。

ただ、最近になりようやく全色顔料が出てきたとはいえ、ブラザーのインクは黒顔料とカラー染料の組み合わせが大半であり、このMFC-J887Nも同様なのは残念である。

なお、前モデルから、ADFの紙送りローラーやFAX機能の改善などのマイナーチェンジしたモデルである。

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※HPからもビジネスインクジェット複合機は出ているが、HPのプリンタや複合機は使用したことがないため、割愛する。

総評

印刷コスト最重視の場合は、EW-M660FTで他に余地はない。

MAXYFY MB5130とPX-M840Fはビジネスインクジェット複合機として求められる性能はほぼ網羅しているといえる。 機能と性能からなにを重視するか、あるいは外見で決めてしまっても構わないだろう。

ブラザーのMFC-J887NはFAX複合機を導入しておきたいが、あまり使用頻度が高くないならよい選択だ。 設置スペースも可能な限り小さくしたいという要望に答えてくれるだろう。

私の事務所では、この春よりMB5130を使用している。 先に書いたインクの件のように不満がまったくないわけではないが、大量印刷は外部に委託するなどの使い分けをすることで、特に問題なく使えている。 今のところ問題を上げるとするなら、ルーターとの距離があるために無線接続がうまくいかず、有線での接続を余儀なくされたくらいである。

またいずれ、使用レポートをあげてみたい。