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シンプルで合理的な生活

『ゴールデンカムイ』を読んで考えてしまう健康上のアレやコレ

今やすっかり人気作品になってしまった野田サトルの『ゴールデンカムイ』
内容自体はこれまでもさまざまな場所で多くのレビューがあるので触れないが、アイヌの少女アシパをはじめとする食事のシーンも人気のひとつだろう。
なかにはエゾリスなどの脳や肉の生食もしばしば登場する。

 

だが脳を食べると言うと、どうしてもクロイツフェルト・ヤコブ病、あるいはクールー病といった病気を思い出してしまう。
これは成毛眞氏の紹介で一躍有名になった『眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎』が原因だ。
読書メーターのこの本のページでは「この本を読んだ人がよく読む本」に、ずらりとゴールデンタイムの各巻が表示されるところをみると、やはりこの連想をする人は多いのだろうか。

プリオンに関しては、調理レベルの加熱ではまったく歯がたたないため、生食でも加熱食でも危険性は同じである。

そんなわけで調べてみたのだが、どうやら、現在まで北海道で感染した野生動物の報告はないようだ。
なので、彼女たちが感染を危惧する必要はないだろう。
(もちろん広い北海道、それも戦前のことだから、すべてが網羅されているわけではないので、人知れずという可能性はあるかもしれないし、それ以前にフィクションなので作者である野田さんのペン先ひとつだが)

 

もうひとつ思い出すのは、少し飛躍してしまうが肉食と人類の進化や発展である。

我々ホモ・サピエンスやそれに類する人類の進化において、脳の大型化は大きな要因だ。
その原因として現在有力な説のひとつとして肉食が脳の大型化を促進したというものだ。
タンパク質の大量摂取により脳が他の哺乳類よりも大きくなったという。
もちろん脳の大型化には諸説あり、最近では果実説などというものまでもある。

そんな肉食自体にも、むしろ火の使用が重要で、より多くの肉が食べられるようになったという。

それだけでなく獣肉の生食は、魚肉と比べてはるかにリスクが高い。
一方でモンゴロイドにとっては冬季のビタミンが不足しがちであり、寒冷地で活動するのに肉の生食は重要なビタミン摂取になる。
今のような物流が整備されていない時代ならば、北海道も冬にはさまざまな栄養素が不足しがちだったのではないか。

ただ実際にアイヌの文化では肉の生食はあまりせず、野田さんの趣味が影響しているという話もあるため、このあたりは曖昧だ。


最後に、北海道では生水やキツネを経由したエキノコックスの被害。
荒川弘の『百姓貴族』でもしばしばその恐怖が語られる病気だ。

エキノコックス症の病原である多包条虫は元々日本にはおらず、20世紀初頭あたりからアリューシャン列島を経由して入ってきたと考えられている。
そんなわけで時期的に入ってきていてもおかしくはない。

なのだが、昭和11年に礼文島で発生したのが最初ということで、日露戦争直後ならば、こちらも魔の手を逃れられそうである。

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)